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Converted by Falcon Hive

2010/9/5(日)
  ドキュメンタリーシアターという演劇手法をご存じでしょうか?
劇のテーマに沿って多方面に材を行い、インタビューテープを原稿に起こす。その言葉達や様子、描写を取捨選択して役者の演技や演出で新たな世界観を構築し主題を観客に提示するというものだ。欧米では一般的になっているが日本ではまだ知名度も少なくこの劇団ワンツーワークスが日本国内で初めて行った手法である。座・高円寺2での上演「誰も見たことのない場所」。テーマは自殺だった。
  登場人物の立場はそれぞれ多種多様。自殺の名所・富士吉田警察署の刑事、JRの運転士、自殺サイトの管理者、元リストカッター、多重債務者支援団体、歌舞伎町救護センター所長。膨大な時間が費やされているであろうこの演劇はすべて実際の取材に基づいているものであるので言葉にリアリティがこもっていた。演劇という間口の広い形態をとしながら、しかし自殺というタブー視される深いテーマを提示され考えさせられずにはいられないものであった。
  死にたいと思うこと、日々の生活でいっぱいある。けれどもその一つ一つはその時の瞬間の思考でしかなく結局のところ死ぬ勇気もなければ、それを外に伝える勇気もなく、どう死のう?まで考える場所にまで到達もしていない。最後に思い浮かぶのは家族、友人、今まで関わった人達、それらの人に自分の死がどんな影響を及ぼすのか?その工程を経ると結局元のとこに戻ってくる。とりあえず生き続けるか~と思うのです。本当に心の底から絶望してはいないということなのだなと思い返します。とりあえず生きながらえている毎日です。

  周りに自殺志願者がいたこともなければ実行に移した人も知りません(サインを見逃しているのかもしれないが)。実行してしまう人の気持ちはその人の立場にはなれないので本当の意味で理解することは絶対に不可能。ただ不可能ながらもこうやって考える事は出来る。一つのスタート地点に立たせたのは今回の劇団ワンツーワークスの意図するところであり、そして僕にそうさせた事は、今回彼らにとってみれば成功なのだろうなと思いました。自殺について考えたり話すのはタブーなの?この問いが出る社会を少しづつ変えていきたいとおっしゃった古城十忍さんの言葉が妙に響きました。

http://onetwo-works.jp/

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